2010年1月31日

イスラエル大統領のシモン・ペレがアウシュビッツ強制収容所解放から65年目にあたる今週はじめ、ドイツ連邦議会で演説をした。

今朝のFAZ紙には、演説の全文が新聞の丸々1ページを埋めて掲載されている。

ペレ氏の家族も多数、ベラルーシでナチスによって殺されている。きわめて悲痛な内容だ。ドイツ人だったら耳をふさぎたくなるかもしれない。

これだけドイツ人にとって厳しい内容の演説を、連邦議会でイスラエルの大統領が行い得るということは、両国の関係がいかに友好的なものになっているかを示すものだ。

メルケル首相が、「イスラエルが他の国によって攻撃されたら、ドイツは自分の国が攻撃されたと同様にみなす」と今回言い切ったことは、ドイツがイスラエルに対していかに重い責任を感じているかを物語っている。

大変記憶に残る演説であった。こういう記事を読むことは、1冊の本を読むようなものだ。

こういう内容の演説が、日本の新聞の1ページをつぶして掲載される日は、おそらく来ないであろう。なぜなのだろう?ドイツのような高級紙の存在が、なぜ日本では不可能なのか?日本のマスコミでかつて働いた者として、私は若干の失望を禁じえない。

日本に高級紙が誕生するのを見ないまま、一生を終わるのは残念だ。